ずずずずず。
「うむうむ、なかなか腕をあげたのう、タカオ。これなら、立派に道場の看板を担っていけるぞい。」
「ええ、最近では落ち着きもでてきたようですしね。」
いつもの稽古のあと、遊びにきていたキョウジュとお茶を飲みながら、タカオはどこかうわの空だった。
ずずずずず。
“ちょっと休憩じゃ”
祖父が奥の部屋へひきあげてからも、とうのタカオは空ばかり見上げてぼーっとしている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。キョウジュは何も言わなかった。
ふと、側のタカオを見てみる。タカオの性別が明らかにされて3年程がたっただろうか。
中身はともかく、確かに、外見はその性別どおりの成長を遂げつつあるタカオ。真っすぐな瞳には昔の面影が色濃く残っているが…。
「キョウジュー。」 「何です?」
「オレ、、、ちょっと旅に出てくるよ。学校のほうもちょうど連休にはいるしな。」
「…そうですか。いってらっしゃい。」
言葉少ないキョウジュの返事に、タカオはうなづいた。
晴れ渡った青空を見上げ、レイはある人物を思い浮かべていた。ベイブレードが大好きで、どんな時でも明るかった。
“ベイのためなら山でも谷でもっ!” まだ、出逢って間もない頃のそんなセリフが思い出され、心なしか笑いが出る。
その頃は、自分の一番大切な仲間だった。
木ノ宮タカオ―
あの頃は楽しかったな。毎日、お前とはりあってバトルばかりしていた気がするよ。思えば、自分達は似たもの同志で。
----オレはお前の前から消える必要があったんだ-----
新設BBAが軌道にのるまでは、と日本に滞在していたレイが再び旅にでたのは2年前。タカオやキョウジュたちに見送られてまた修行の旅へ。
「元気でな、レイ」 そう言ってさしのべられたタカオの手を自分はどんな顔をして握り返したのか、もはや覚えていない。
「タカオ…」
言葉にしたその名前は、今のレイにはあまりにも重い。いつからだろうか。タカオを仲間とは違う視点で見るようになったのは。
最初の頃はよかった。タカオが自分に対する言動のひとつひとつに、行動のひとつひとつに、戸惑いと嬉しさを感じていた頃は。
だが、ある事に気付いてから次第に自分の中で広がっていく黒い衝動。その衝動が何なのか、自分は知っている。
だが、抑えなければいけない。積み重ねてきた年月分のタカオへの想いが、自分をひどく歪ませているのをレイは感じていた。
-----あのままお前の側にいたら、オレはきっと-----
今、レイはしばらくの休息期間として自分の故郷、白虎族の村へ戻ってきていた。
“日本へは行かないの?”
そんなマオの問いに、“ああ、今は行けない。行きたくない。” と答えるレイ。
マオたちに分かるはずもない。自分がタカオに抱いている邪な感情を。
もう、それは恋や愛といった類のものではない。
気分転換の散歩から、村に戻ってみてレイは絶句した。
キキやマオ、ライ達に囲まれて、タカオが笑っていたからだ。
「な…」
レイに気がついたのか、タカオのほうから手をふる。全く変わっていない、明るい笑顔。
空の色を宿した瞳。
髪は少し…伸びているようだな。風になびいているそれを遠目に見ながら、そう思う。
「おーい、レイー!! お前のほうから全然来ないからさー、こっちから来てやったぞーっ。わざわざキョウウジュに小遣い前借りしたんだから。後で返せよなーーっ!」
・・・・・中身は変わってない。
苦笑して、レイは歩幅を早めた。今なら、タカオにも普通に接することができるから。周りに人がいるこの状況ならば。
昔の思い出話から現在の近況に至るまで、タカオはとめどもなくしゃべっている。
マオもそういったおしゃべりは嫌いではないほうだから、一緒になって騒ぐ。
ライ達も、なんだかんだとつきあい、そんなこんなで村の夜は更けていった。
「ふああああ。さすがに、眠いわ。タカオ、出発はいつなの?今日は泊まってくんでしょ?」
「ああ、そのつもりだけど。」
持参したリュックをごそごそと整理しながら、タカオは答えた。
すでに、ライ達は先に帰っている。
そのつもりだけど…。
タカオはやや戸惑っていた。一応自分は女なのだし、最近ではそういった扱いを受けるのにも慣れてはきた。
むろん、こういった場合、泊まるとしたらマオの部屋になるのだろう。自然だ。
だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タカオの心情を理解したのだろう。背後でレイが告げた。
「まあ、そう急ぐ必要もないさ。オレはもう少しタカオと話がしていたい。懐かしいし、いろいろ聞きたいこともあるしな。
それに・・・・・タカオはマオの部屋に泊まるのが恥ずかしいらしいぜ?」
・・・・・・・・・・/////////。
きまりが悪そうなタカオを見て、マオはあきれた。
「まっったく、本当、変わらないわよね。そのへん少しは成長したかと思ってたのに。まあいいわ。
そんなタカオなら、レイ兄もまだ何にも出来ないだろうしね。じゃあ、お休み、タカオ。」
笑って去っていくマオに、レイは心の中でつぶやく。
---- 本当に、お前はそう思っているのか、マオ--------
「で、みんな元気なのか?」
話をきりだしたレイに、タカオが嬉しそうにうなづく。
「まーな。さっきも言ったけど、キョウジュがまた新しいベイの開発をはじめたし――」
はずむようなその声をレイは、どこか夢見ごこちで聞いていた。
適度にあいづちを打ちながら、ほんの少しずつタカオへの距離をつめる。
「で、じっちゃんときたらひどいんだぞ?」
話しながら、笑ったり、、、怒ったり、、、、、。
正直、昼間タカオを一目見たとき、レイは素直に嬉しいと感じていた。自分に会いに来てくれたのだろうか。
思ってもいなかった事に、やはり高鳴る胸は押さえられなくて。
だが・・・・・辛い。今はまだ・・・・・認めることができない。抑えることが、できない。
何故だ。どうして、お前はオレの前に現れたんだ、タカオ…?オレはお前を---
ひとしきり話し終えてから、タカオはレイが妙に自分に近づいているのに気付いた。
だが、レイは無表情で。何となく違和感のようなものを感じないでもないが、気のせいだろうと思う。
しばらく、2人の間から会話が消えた。
どのくらいしただろうか。淡々とした調子でレイが問いかける。
「なぜ、ここにきたんだ?」
「なぜって・・・」
問われて、タカオは憮然とする。
レイの問いかけにこもった感情は、あきらかに嫌がっているような感じなのだ。
なんだよ。わざわざ会いにきたのに、そんなメイワクだったのかよ。
「久しぶりに仲間に会いにきちゃ行けなかったのか?」
“仲間” 聞きなれたタカオのその言葉を、レイは黙って受け止めた。
何かを必死に堪えるように目を閉じて、ゆっくりと問いかける。
「…タカオ、お前にとってオレは仲間、か?」
「それ以外の何だよ。」
閉じていた目を開けると、むっとしている様子のタカオが目にはいる。
レイは、自分の中で何かがぞわりとするのを感じていた。
レイの表情の変化にタカオは気が付かない。
「レイだけじゃない。キョウジュやマックス、それにカイだって―」
それから先を言うことは、禁じられた。突然の痛みがタカオを襲ったからだ。
!?
一瞬、状況を理解できなかったタカオ。
今、オレ・・・・レイに腕をつかまれて・・・・・・壁に・・・・?
本当に、、、、どうしてこうなってしまうんだろうな、タカオ…。黙って、帰すつもりだったのに…。
気がつかなければよかった。
だが、気がついてしまったから。
何気ないお前の目線の先に、、、、アイツがいたことに。
そして今オレの前でお前はアイツの名を呼ぶのか・・・・。
「カイ」 その名前がタカオの口から発せられた時、レイはタカオの腕をつかんで壁際へと追い詰めた。
予想もしていなかったのか、タカオの抵抗はなく。ただ、びっくりしたように自分を見ているその瞳が心なしか揺れているようで。
真っすぐな瞳。オレの好きな---。
激情に駆られながら、
その中に、今は自分しか映し出していないのを認めると、レイはまだ混乱さめやらぬタカオの唇に自分のそれを重ね合わせた。
いつか触れてみたい…そう思っていたタカオの唇は思っていたよりも柔らかく、唇ごしに伝わる微熱がレイの理性を溶かしてゆく。
つかんでいるタカオの腕から、かすかな震えを感じたが、もはや躊躇はしない。
--- 一度は認めようと思ったさ…だからお前の…お前たちの前から消えた。だが――
欲望のおもむくまま、レイはタカオの口内に舌を侵入させる。
「・・・・・・・・んっ・・んんっ!!!」
口づけもそうだが、初めての経験にタカオは、恥ずかしさと怖さがないまぜになる。片手はレイにとらわれているままだ。
もう片方の手で、レイを押しのけようとしたが、逆にそちらのほうもつかまれてしまった。両方の腕を壁に押し付けられる。
決して気持ちのよいものとはいえない舌の感触。だが、逃げれば逃げるほどレイは執拗に追いかけてきて。
舌を絡めとられ、呼吸もままならないでぼやけつつある意識のなかで、タカオはなぜか涙がこぼれるのを感じていた。
オレは…何で泣いてるんだろうか。レイに…こんなことされてるから?
そんなタカオの意識をさまさせるかのように、ある感触が走る。
いつの間にか、片手は開放されていた。
レイの左手が、タカオの服の下へと滑り込んでくる。
自分ではあまり気にしていなかったふくらみの、片方にレイの手がかかっていた。
「…はうっ…」
思わず漏れた嬌声に自分で自分の耳が信じられない。まして、その声をレイに聞かれるとは。
その声に刺激されたのだろうか。唇を離すと、レイは意地悪そうに笑ってタカオの耳元にささやく。
「どうした?まさか、感じているのか…たったこれだけで?」
!!
やっぱり、いつものレイじゃない。こんなのは…レイじゃない…!これ以上は。
タカオの本能が危険を告げる。自由になっている片手で、再度レイを押しのけようとして、タカオはがく然とした。
精一杯抵抗しているはずだ。
だが、レイは薄く笑うだけで。
いとも簡単にタカオの両手を自分の片方の手だけで押さえ込む。
力の差。それはどうしようもない原理。しょせんは体の構造が違うのだから仕方のないことだ。
時の流れが、いつのまにか、自分達にこんな差をつけている。
だが、今この状況で、それを再認識させられるとは。
両手を上にさせられ、抵抗も虚しく上着をはだけさせられ・・・・・・。
悔しさと恥ずかしさで、タカオはただ叫ぶ。
「やめろ…!やめろってば…!!やめ・・・・・・・・・て・・・・・・・・く・・っ…ああっ・・・・」
首筋から徐々に降りてくる、湿ったそれに、体は正直に反応しながら、時折もれる声を必死にこらえる。
今は涙で揺らいでいるタカオの瞳を見ながら、自分を欲情させるその声を聞きながら、レイはタカオを床へと押し倒した。
「う…!」
床にうちつけた背中が多少の痛みをタカオにもたらす。そして、その上に覆いかぶさってくるレイ。
彼の愛撫も、慣れないタカオには嫌悪でしかなく。ちらり、とタカオの表情をよみとるレイ。
例え、お前がオレを見なくても・・・・
---お前は誰にも渡さない----
おもむろに自分の服を脱ぎ捨て、レイはタカオの胸元に唇を這わせた-------
双丘のひとつを片手で弄びながら、もう片方をなめあげる。それでなくとも、身体だけはやはり女らしく成長しているタカオに、
レイも自身の中の男がうずくのを感じていた。自分に組みひしがれたまま、まだささやかな抵抗を続けるタカオ。
ふもとから頂上まで、ゆっくりと舌先で円を描くようになぞっていく。
「はうっ・・・・・ふ・・・・・」
頂上の、かわいらしい桃色のそれまで辿りつき、口に含む。舌で転がし、時々軽くかんでやる。その間にも、もう片方の双丘をなぶることも忘れない。
タカオは味わったことのない感覚に痺れが走る。 恥ずかしいのに…こんなのはイヤなのに…。
「んん・・・・・・・は・・・・・」
自分でさえ、まして男に触られることなどなかった部分を執拗に攻められ、タカオはすでに抵抗する気力を失いつつあった。
頭上にとらわれていた両手から力が抜ける。
それを見越していたのだろう。最後に、先端を軽く吸い上げ、その行為にともなうタカオの嬌声に満足そうに微笑みながら、レイはとらえていたタカオの両手を解放した。
…抵抗する様子はない。
再び、唇を重ねる。最初のとは違い、優しいキスだった。唇だけが触れ合うじゃれあいのような―――。
それを何度も繰り返しながら、右手でタカオの双丘をかわるがわるなぞる。
「・・・・・うぅ・・んっ・・・・・・・」
キスの合間合間にもらすタカオの吐息が、激しさをましてゆく。ふと、レイがささやいた。
「…欲しいのか?」
卑猥な言葉。遠まわしなそのイミを、タカオは理解していた。否定したい。今すぐにでも拒絶したい。しかし、言葉は出てこなくて。
返答のないタカオにおかまいなく、レイはタカオの下肢へと手を伸ばした。胸元から腰を経由して滑らかに滑るレイの左手。
服とともに下着をずりおろされる感覚に、さしものタカオも再び抵抗をはじめる。
本当にこれ以上は・・・・・・!
だが、レイの力の前にはしょせん敵わない。あっさりとはぎとられ、露になった下肢。滅多に外気に触れることのないそこに・・・・・・・・レイは顔を埋めてきた。
ぞくりとする感触。耳に聞こえてくるいやらしい響き。もう、何がなんだか分からない。涙だけが出てくる。
それでも、何とかレイから離れようと努力はしてみるのだが、自分の腰にしっかりと固定されたレイの両手がそれを許さなかった。
与えられる羞恥と恐怖。ざらりとした舌から伝わってくる何ともいえない感覚にタカオは身悶えるしかなかった。
言葉にならない言葉をあえぎとともに発しながら。
タカオの秘部を丁寧に舐めてやりながら、抑えのきかなくなりつつある自身を何とか抑制する。
こんなカタチで彼女を手にいれようとしておいて、今さらだと思わなくもないが、出来るだけ傷付けたくはない
。最初からそうだったが、タカオはきっとこういった行為をするのが初めてで。
タカオの反応から、その事に気がついた時、レイは多少の驚きを否めなかった。
…ふ…まあ、当然といえば当然か。タカオだからな…。
タカオの笑顔が好きだった。時々発する子供じみた言動も、全てが愛しかった。一番大切で。
タカオが自分以外の誰かを見ているんじゃないか、そう思った時、それは嫉妬に変わる。
許せなかった。自然体でいるタカオが。気付けば、自分はこんなにもタカオを愛しているというのに。
同じだけのものをタカオは自分に返してくれない。それどころかますます自分を苦しめる。それでも、タカオから離れられない。
結局・・・・こうなってしまった。
優しい舌の愛撫に、適度に濡れたそこを確認すると、レイは上半身を起こし、再びタカオに覆いかぶさる。
直接触れ合う肌から伝わるタカオのぬくもりと柔らかさ。もう少し、こののまま抱いていたい。
だが、そんな心情とはうらはらに猛り立つ自身に苦笑する。タカオのほほを優しく包むと、レイはキスをした。今度は深く。
無意識のうちにタカオもそれに応える。
タカオ…
絡み合う舌が、お互いの身体にさらなる熱を加える。
ゆっくりと、レイはタカオの両足に手をかけた。
足を開かされ、レイ自身が触れた時、タカオは急に我にかえる。
「…! い・・・いやだっ…」
左右に首を振り、あとずさる。
タカオが怯えているのが分かる。だが、もうどうにも抑えようがない。タカオを感じたかった。もっと…もっと…。
タカオの腰に手をかけると、自分のほうへ強く手繰り寄せ、勢いで自身を挿入した。
「・・・ああっ!!」
身体を貫くその痛みに、タカオは悲鳴を上げた。苦痛に身をよじらせる。
やはり、はじめてだったのか…。
分かってはいたが、自分が無理強いして汚したものの大きさにあらためて罪悪感が沸く。
レイの胸にちくりとしたものがよぎったのもつかの間。
苦しげにも、まだ自分から逃れようとするタカオを目の当たりにして、黒い衝動が鎌首をもたげる。
そんなにオレから逃れたいのか…タカオ!?
「…くっ」
タカオの中で、自身も締め付けられながらレイはさらに奥へとそれを侵入させていく。
何もかもが初めてで、男を受け入れたことがないタカオのそこはとても繊細だった。
レイの強引な侵入で傷つき、血と体液、それらのものがタカオの足を汚す。
「う・・・・・・」
もはや抵抗はせず、タカオはただその痛みを我慢する。ほほを伝わるいくすじかの涙がレイの胸を締め付けた。
レイの、悲しげな瞳を見ながらタカオは思う。
そんな顔するんなら、なんでこんな事してるんだよ、レイ…?
タカオの問いかけはレイには届かない。今やレイは完全に自身をタカオの中に納めていた。
そして、ゆっくりと律動を開始した。びくん、と身体を震わすタカオ。
時々口付けしてタカオの気をまぎらわせてやりながら、今度はおそるおそる奥へとすすむ。
ゆったりとした律動を繰り返し、何かを捜し求めるように。
「・・・・・・・・・くぅぅ・・・・あうっ・・・・・」
まだ、痛みしか感じていないようなタカオの声。
タカオに憎まれるのは承知の上で無理やり抱いた。何よりここまで自分を狂わせたタカオが憎い。
だが、それに以上に――――愛しているから――――
今のタカオの様子は、レイにとっても辛い。
憎まれても、恨まれても構わない。だから、今だけでもオレを感じてくれ、タカオ。
オレがお前を感じているように―――
ある場所へきて、タカオの表情にかすかな変化の色を感じたレイはそこを軽く突いてみた。
「・・・・っ・・・・・・・・や・・・・あ…」
抱いているタカオの身体が震え、さきほどまでとは違った甘い声が混じる。
ここか。
やがてゆったりとした律動は、回数とともにその速さを増し、絶え間ない波となってタカオを襲う。何度も何度も責め立てられ、
先程レイが見つけた部分を正確に突かれ続ける。その激しさにタカオはもうわけがわからない。
「はうっ・・・・あ・・・・・んんっ!・・・・・・・・あうっ!・・・・・・・・」
ただ、熱くて・・・、苦しくて・・・。そして何ともいえない恍惚感。
どうにかしてほしい、と思った。悲鳴まじりの甘い嬌声を吐く。
気が狂いそうなほどの愛しさと激しい憎しみ・・・・・。相反する感情をもてあましながら、レイは荒々しく自身を打ち込み続ける。ともすれば、意識を失いそうになるタカオに口づけし、そのふくらみをまさぐる。
あまりの責め苦に時々腰を引こうとするタカオをレイは許さなかった。
逃がさない・・・・・絶対に。
やむことなくタカオを愛し続け、
鈍い音をたててきしむ床の音と、あえかな吐息が闇にこだまする。
「・・・・・・・・・・・・レイ…」
!?
事ここに及んで、初めて呼ばれる自分の名。はっとしてレイはタカオを見た。
自分を見つめてくる瞳は本当に真っすぐで―――
まだそんな目でオレを見てくれるんだな。オレはお前を汚したというのに。
ふわっと、タカオの両手が自分の背中へまわされる。行為による混乱した思考のままの行動だろうか、それとも。
すがりついてくるタカオが愛しくて、哀れで。
「・・・・・・・・・タカオ・・・・・・・・・」
つぶやくと、レイはいっそう深く自身を打ち込んだ。
「・・・ん・・・・・あああっ!!」
すべてをだしきったそれを抜き取り、気を失っているタカオに口づけると、レイも力尽きたように横たわった。
薄れゆく意識の中でつぶやく。
どんなカタチでもいい。タカオの記憶にずっと残っていられるのなら
オレという存在を、忘れないでいてくれ
これは、そのための契約―――